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執筆者の写真Momoka Nomura & Yu Matsumoto

エコスクール・セミナー

セミナー内容 (ももか)


エコスクールには、タルトゥの幼稚園の先生が20〜30人程集まっていた。私たちは最初から見学することが出来なかったが、おそらく最初に実習内容についてレクチャーがあり、その後各テーブル2,3人に分かれて実習を行うという形式であった。実習の内容は、ニンジンの種をキッチンペーパーの上に等間隔で貼り付け、端からクルクルと巻く、というシンプルなものであった。冬の間にこのセットを作って保管しておくことで、春を迎えた時に簡単かつ正確に種蒔きが出来るという。ニンジンは種がとても小さいため、土に直接置くと見失いやすく、等間隔に種を撒くのが困難である。しかしこの方法を用いればその心配はいらない。ペーパーとニンジンの種を付ける接着剤の役割を果たすのは、小麦粉と水を溶かした液体である。もちろんペーパーは自然と土に還り、この液体も自然と溶けていく。まさに環境にやさしい、エコな栽培方法であった。セミナーではプリントが配布されていたが、先生たちもノートとペンを持参し、レクチャーの内容を各自メモしていた。また実践型ということもあり、自由に立ち上がって道具を取りに行ったり会話したりとアクティブな印象を受けた。日本の研修というと座学のイメージが強いため、この明るい雰囲気は私たちにとってかなり新鮮なものであった。幼稚園という早い段階からエコについて学ぶ機会があること自体にも日本との大きな違いを感じ、エストニアが教育大国と呼ばれる理由をまた一つ学んだような気がした。



資料の内容 (ゆう)


エコスクールの質の高さは、そこで使われていたポスターや絵本の内容からもうかがえた。ポスターは全部で5枚あり、地元の食材、有機農業、食品の環境への影響などについて、数字で表した現状や問題への対処法、メリットデメリット、今後の展望がくわしく説明されており、環境問題に対する意識の高さを感じた。特に地元の食材を食べることがもたらす環境への影響についてのポスターが興味深かった。日本は食糧の多くを輸入に頼っているため、環境的な面ではまだまだ工夫できると考えた。また、絵本は主人公であるにんじんの一生とそのまわりの環境について細かくかかれており、とても幼児向けとは思えないほどレベルが高かった。にんじんが種から最後土に帰っていくまでの細かい説明とにんじんと周りの生態系とのつながりをわかりやすく示した挿絵が、子供たちの環境への深い理解を可能にするだろうと感じたし、大人が読んでも非常に面白い内容であった。この絵本は大人が子供に読み聞かせをするのに使われると聞いたが、大人と子供の両方を教育する側面があると思う。大人が子供をひとりの大人のように尊重し一緒に学んでいくというエストニアの教育スタイルが、エコスクール全体を通しても感じられ、非常に有意義な体験であった。日本でも、幼稚園、保育園や家庭の中で、大人と子供が一緒に学んでいける環境をより充実させることができるのではないか。



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